これから菫も咲くでしょう

宝塚と、もろもろと

パーシャルタイムトラベルについてまだ語りたい

桜木さんが時空を駆け抜けていた間、私もまた東京⇔神戸間を飛んでいたのです。

そしてパーシャルタイムトラベルは千秋楽を迎えてしまいましたが、私の中での盛り上がりはまだまだ終わっていないのです。

何回録画(細切れ)見てると思ってんだよ!!!!!

そんなわけで、記憶と録画を頼りに個人的なツボを残しておきたいと思います。書き残しておくことで、未来の私が確実に感謝するってことが分かりかけてきました…記憶って、どうして薄れてしまうの…。全てがうたかたに消えゆく…。

 

さてはて、好きなとこ。

あの始まり方正直神だと思うんですけど皆さんどうよ?(そっから)

薄い幕の向こうでジャンがガタゴトとライブの準備をしているなかで、オルゴールみたいにきれいな音楽が流れていて(しかも二幕のクライマックスの曲で)。で、ライブから始まるの。あの始まり方がすごく好きなので、いつの日かスカステさんで放送される際にはぜひ客席がざわざわしているとこから始めてほしいなぁ。街角の、誰も知らない、でも聞こえて来たら足が止まる、そういうライブの始まりがワクワクしました。

 

私、潤奈すばるくんのエメがすごく好きなのです。ジャンに助け舟を出してもらって、クシャって思わず泣き顔になっちゃうとこがいいなぁって。こんなふうになりたかったのに全然なれない、そういう涙のような気がして。

私はパーシャルタイムトラベル、とても好きなんですけど、結構みんな、特に現代の男の子たちが「今の自分じゃない自分」になりたいと思っているとこがすごく好きなのです。ほら、自分のこと好きじゃない人好きだから…。

ジャンも、リシャールも、エメも。こういうはずじゃないのにってもがいてたり、あきらめかけていたりするとこがすごく好きだなと。

リシャールとエメは「ジャンみたいに」と思うところがあったのかもしれませんが、ジャン自身はそんなことなくって、てゆうかジャンは流された後に「あれ?」って思うことが多い人生だった気がするんですが、どうなんでしょう。そういうところが!!お前、そういうところが!!!弱点なんだけど、好かれるとこでもあったのかなと。でも本人的には弱点でしかなかったのかなぁとも思ったのです。こんなはずじゃなかったって、多分ジャンが、初めの頃は一番思っていたのかなと。

アパルトマンの面々と歌う「分かれ道」の歌が好きです。何かを選んだことで、何かが決定的に離れてしまう。その繰り返し、繰り返しの中で、あなたは何を選ぶのか。それはきっと誰にでも起こっていることで。

二幕でリシャールに「お前みたいなことが起きれば」って言われてジャンはすごい怒るんですけど、特別なんかじゃないってジャンが思っていることに私はぐっと来たんですよ。俺は特別なんかじゃないし、この感情だって特別じゃねーよって言ってるみたいで。特別なんかじゃなくって、ただ、好きなだけ。好きになった女の子のところに、行きたいだけ。ジャンの、考えなしで、流されやすくて、でも、こうと決めたら絶対なとこが本当に好きでした。私が好きな分まで、君がいつか君のこと好きになれればよいよねって、ずっとずっと思ってたし、今でも思ってます。本当に、好きだ。

 

好きと言えば私はまどかちゃんのテスがものすごく好きで。中世でジャンに初めて会ったときに「誰こいつ」って顔してるのもすごく好きだし、うぇぇぇぇええええい!!ってお嬢様を投げ飛ばすのも好きだし、役に立たないピエールの代わりにシャーロットをジャンから隔離するのも本当に好きなんですけど(並べるとすごいヒロインだな)、私が一番好きなのは、ジャンがタイムマシンを湖に沈めて戻ってきたときの「戻ってきた!」って声なのです。切なくて、健気で、愛しくて。

多分テスは、今まで自分の好きな人が、「自分のところに」帰ってくるなんて夢見ることもしなかったんじゃないかとこの声を聴いて思ったのです。ハチクロの山田さんじゃないけど、「自分の一番好きな人が、自分のことを一番好きになってくれる」っていう願い事が、ずっと、ずっと、叶わなくて。ジャンが初めてだったのかなと。初めて、私のところに、私のために、戻ってきてくれた。

あの時のテスが本当に好きで、私は健気さに毎回涙ぐんでしまって、だからこそ毎回新鮮にジャンの詰めの甘さに「おめーーーーーはよーーーーーーーーー!!!」ってツッコミを入れてました。本当に楽しかったな…。

 

ともあれ。場面ごとに書いていこうと思ったのに、もうバラバラ!!

一幕で好きなとこは他にも希峰かなたくんの諦めの早い隊長だったり(ツッコミ力もあるとこも最高)、バーソロミューのすっごいいい声な「ビアーン」だったりいっぱいあったりするのですが(二回目にタイムスリップしたときの兵士たちの反応も大好き)、サミュエルにめちゃくちゃ笑わせて頂きました。朝央れんくん、素敵でした!

私がサミュエルの台詞で一等好きなのは「私は軍神サミュエル!神にすべてを許された男!」なのです。あー、ここまでジャンの言うこと信じちゃったんだ…あー…とこのセリフだけで伝わってきて。いい人だな!!とゲラゲラ笑わせて頂きました。大好き。

あと、子熊のような遥羽ららちゃん…好きにならずにいられない…!

ジャンは三度目のタイムスリップは運命の恋に向かって飛んでいくわけですけども、現代に戻されて、シャーロットそっくりな女の子に出会うって言うのがすごく皮肉で、まさに「馬鹿にしやがって…!」なんだと思ったんですよ。

テスへの恋は本物?

ジャンはテスに会えない時間、ずっと問いかけられている気がしたのですよ。好きなのは誰?大事なものは何?

会えなくなる人は、誰?

ジャンは「俺がいなくなっても悲しむ人なんていないし」とけろりと言ってしまような男の子だったのですけど、そんなことなかったことに、いつの間にか気づけていくところがすごく好きです。アパルトマンのみんな、ジャンのことそれなりにちゃんと好きなとこがいいなぁって。

そしてジャンも、アパルトマンのみんなのこと、それなりに大好きなのよ。そこが本当に好きなのです。好きなものも大切なものもそれなりにたくさんあって。

でも、選ぶ。

選んだ先に別れがあるのは分かっていても。

未来に一緒にいるのはあの子って、選ぶ。

そういうのが私は本当に好きなんですよ…!!だってそんなの、恋じゃないですか!!

 じゃあ選ばれなかった方は、どうなるの?という問いかけにはまだうまく答えはないのですけども。でも、ジャンは選ばなかった方にもすごく思いを残せるようになったことがいいなぁって思ったんです。アパルトマンのみんなとか、リシャールたちとか、大事で、好きで、でも行かなくちゃって別れ方をするジャンがすごく好きです。ジャンはシンガーソングライターにならなかったけど、立派な侯爵様にはなったんだなってやんわりと示されているのが正塚先生っぽくって私のツボです。てか、プログラムの見開きにいらっしゃいます桜木さん、めちゃくちゃ格好良くないですか…?あのホント、ありがとうございます…ありがとうございます…。お礼を言うことしか私にはできない…。

 

 私、二幕でジャンがアパルトマンのみんなに背中を押してもらってテスを探しに行って、そして中世ではテスがジャンを想っているところで流れる曲がとっても好きなんですけど。あのあとの中世の3人の関係性もとっても好きでした。テスとシャーロットとピエールの。

テスはピエールと幼馴染と言っていたけれども、シャーロットともやっぱり昔馴染みだったのではないかしら。昔から知っていて、昔からシャーロットに振り回されていて、昔から、ピエールはシャーロットが好きだったのかなと。ずっと知ってて、ずっとずっと知っていて。

そういう女の子を嫌味なく演じていたららちゃん本当にすごいなぁって思いましたし、何よりもうめっちゃ可愛かった!!もう、ららちゃん可愛かった!!(溢れた)

まどかちゃんのテスにとって、好きな人の好きな人だったシャーロットが、いつの間にか大切な自分のシャーロット様になっていたのも良いなぁって思ったのです。置いてけぼりのピエールもね。この三人、可愛かったなぁ。ピエール役の瑠風くんは、あんなに真面目なのにコメディの間がすっごく上手でいつも笑わされました。見てると楽しい男役さんだなぁと。好きです。

好きと言えば、私現代のテスもすごく好きでした。パキパキっとしてて、ジャンにちゃんと厳しくて。

フワフワしていたジャンが、ちゃんと過去、中世で人生を全うするんだろうというのが現代のテスに表れている気がしたのです。思ったのですが、ジャンはこの後、現代で「後片付け」してから中世に行くんじゃないかと。別れを言うべき人に告げて、持ち物をきちんと片付けて。

テスのところへ帰っていく。

そんな未来が見える気がして。現代のみんなは寂しいと思いつつも受け入れて、中世に行ったジャンもそれは同じで。

もう会えない、さみしくて、替わりなんかいなくて、でも気持ちはいつもあるから歩ける。

そういう未来が見える気がして、すごく楽しく幕を閉じられる気がしたのです。

てゆうか出てる人みんな好きですし、このお話が大好きですよ…!見るたびに泣いて笑って楽しかった!って劇場を後にしておりました。本当に楽しい日々でした。

 記憶は全部遠ざかっていくし、私の目が映したものがスカステで映っているかは分からないのだけども。

すごく好きな作品で、すごく好きな人のことを観れた、この幸せな感覚は多分忘れないと思う。