異人たちのルネサンスを観たよ
大変楽しゅうございましたよ、ということを残しておきたくて、冬。
そうなんですよとても好きなんです!なので好きポイントをつらつらと上げさせて頂きます。
①主人公がいいヤツ
いえ別に「相続人の肖像」のことを根に持ってるわけではないんですけどね。えぇ、全然そんなことないんですけど。全然。
ともあれ、真風凉帆さん演じるレオナルド・ダヴィンチがとてもいい人だなぁってそこが私のときめきポイントなのですよ。
この作品の中での「レオナルド」は美術への才能はずば抜けているけれど、むしろそのせいで幸せから遠ざかることになることの方が多いし、他に何か、権力とかそういう力を持っているわけではない普通の青年として描かれていて、そこがすごくいいなぁと思うのです。親からは疎まれはしたけれど、仕事をしてきた親方からは愛され、友からは信頼されて。そういう普通の、光り輝く未来を持とうとしている青年。
だからこそ罪を重ねるカテリーナが触れることを恐れる青年。
ここがね!!すごいね!!!ときめきポイントなんです!!!
真風さんのレオナルドは、淡い清らかな初恋が、これから続く恋になったときの色気と、それにまつわる欲望への後ろめたさがめちゃくちゃに色っぽくて「ひひぃ…!」ってなってしまうのですが、これってレオナルドが「いいヤツ」だからこそだろうなぁって思うのです。主人公を愛せるって本当に良い。別に根に持ってないですけど。良いです!!
②女の子たちがみんな愛しい
大事なことです。(真顔)
このお話の中の女の子たち、みんな、いいよね…!と私なんかは握りこぶしなんですけども。蒼羽りくくん演ずるボッティチェリと語り合いたいくらいなんですけども。いやそしたら「まぁでも僕のヴィーナスが一番だけどな!」って言われるだけでしょうけども。うんまぁ、うん。
まずは星風まどかちゃん演ずるカテリーナですよ!とても可愛い!!そりゃロレンツォ様も見初めちゃう!仕方ない!!でもダメ!!!
なんというかまどかちゃんって「溌剌とした美少女」がとてもよく似合う女の子なんだけど、今回のカテリーナは「そうであった女の子」であり、今は「自分の美しさという罪に苦しむ」女の子なのだなぁと。それが哀しいし、切ない。
話の中ではカテリーナがどんな罪を犯したのか、というのははっきりとは出てこないのですが、でも匂わされてはいると思うのです。「お前が美しいからだよ」と言われて何かをされたこと。はっきりと示されないほどの苦しみを負わされた少女。夢白あやちゃんが少女のころのカテリーナを演じているのですが、彼女が「レオナルド」って呼ぶ声がまたいいなぁって思うのです。優しくて柔らかい、もう失われた声。
美しいカテリーナは、自分のことを罪深い、汚らわしい存在だと思っているように感じたのです。だからレオナルドに見られることに「耐えられない」。そんなことないのに。
カテリーナが、だからその罪による息苦しさから解放されたときの笑顔が、本当に光って見えたのですよね。美しくて、清々しい。永遠に残る笑顔に、いつもハッとしてしまうのです。好き…。
カテリーナが心からのお礼をサライに告げて、そうしてお金で揺れたサライの心がまた、今度はカテリーナの心によって揺れてしまうところ、辛くて、でも好きです。サライは結局、自分のことを一番責めているだろうから、観客である私はサライを責められないなぁと思ってしまうのですよね。だって抜け出したいって思ったことを観客である私は知っているのだから。サライがどんな場所にいるか、この環境から抜け出すのに手っ取り早いのは「金」であると思っているのも、知っているから。悲しいけれども責められないのですよね。だから余計に悲しい。最期にあっきーさん演ずるペルジーノが肩を抱いてくれるのに救われます。でもきっと、サライは自分を許さないのだろうなぁ。
カテリーナだけじゃないぞ!美人三姉妹も好きだぞ!!工房チームは清涼剤、という言葉を噛みしめる今作品、美人三姉妹も可愛さで清涼剤となっている!!可愛い!!男女入り混じってわちゃわちゃしているの、本当に良いです。
清涼剤と言えばのミラノ組、イザベラ可愛いよイザベラ。あの男は最低だからとっとと忘れて次に行こうな!!って思っているのですが、本当にとっとと忘れて次に行ってくれそうなとこが好きです。イザベラ。
そしてそして、みんな大好き純矢ちとせ様演ずるクラリーチェ様ですよ。ロレンツォの正妻、愛人と同じ館に住まわされるという屈辱に平然として見せるクラリーチェ様だけど、心は違う。心はまだ違うのだ、というところが見え隠れしてしまうところがとても好きです。
最後、ロレンツォもクラリーチェも「この先の自分たちに「愛」は手に入れられるのか」という問いをぶつけられるのだけども、二人ともきっと手に入れられないことを知っていると思うのです。でもクラリーチェは、彼女は「かつてはあった気がする」と思ったんじゃないかなぁと。かつて、この手の中に「愛」があった気がする。初めてロレンツォを見た日かもしれないし、嫁入りの日かもしれない。教会でだったかもしれないし、「これからは姉と呼んでね」とジュリアーノに言ったときだったかもしれない。
「愛」はあったのだ。彼女はなんだかそう言っているように見えて、切なかったです。せーこさん大好き…。
あと酒場ダンサーズのえび様となっちゃんも最高だし、おかみさんずなあおいさんとかのんさんも、目が離せない歌手せとぅーも大好きですよ!じゅっちゃんは今回男の子のサライだけども!ともあれこのお話の女の子たち、宙組の娘役さんたちは本当にいいぞ…!
③メディチのご兄弟
悔しいけれども「いい…」と言わずにいられない。
人を食ったようなお兄様ロレンツォ様を芹香斗亜さんが演じ、そんな兄に対抗心を持っている才能なき弟を桜木みなとさんが演じているわけですよ。ありがとうございますじゃないですか…ありがとうございますですよ!!!
そんでもって、芹香さんのロレンツォさんが「持っているがゆえに孤独」であったのに対して、桜木さんのジュリアーノさんが「何もないがゆえに孤独」であるって言うのも「す、好き…!」と顔を覆わずにいられないのですよ。好き…!
ジュリアーノさんの見せる兄への強烈な敵愾心、反抗心、というのがどこからきているのかというと、「全てのものが兄を通して自分に与えられる」ことなのかなと思ったのです。ロレンツォがいない自分に価値はないと突きつけられてきた人生。
でも周囲も、ジュリアーノ自身が一番そう思っていただろうに、ロレンツォだけはそう思っていなかったことがふと現れたのが「やはりジュリアーノか」の場面だと思うんです。「恋敵」は、やっぱり、ジュリアーノ。ロレンツォにとってそれ以外は、考えられない。
ここね、めちゃくちゃね、興奮したんですけど。あのね、誰もね、分かってくんないよね。
ここはね!!!!!!ときめきポイントですよ!!!!!!!!田渕ありがとう!!!!!!!!!!!
④主人公がきっちり最後に締める
あのラストがね、好きなんです、私。
レオナルドは「依頼であればどんなものでも描く」人間だったのだろうと思うのですよね。それこそ宗教画でもなんでも。依頼があれば、そこに心などなくとも。
だから親方は業を煮やしたのだろうし、レオナルドも「どうしても描きたい」ものを見つけてどうしていいのか分からなくなったのかなと。
でもレオナルドは描いた。描き切って、そうしてロレンツォの下を去っていく。腕の中に天使を抱いて。
それってめっちゃ格好いいじゃないですか!!!!!!私は宝塚で一番大事と思うのは主人公が格好いいことなんです!!!!!このお話の主人公は、格好いいぞ!!!!!!好き!!!!!!
⑤衣装と舞台装置もいいよね
田渕先生の作品、衣装いつもいいなぁって思っているのですが、今回で舞台装置めっちゃいいやん…!って思ったのでした。お祭りの時と、あと教会がすごくよかったなぁと。大劇場は大掛かりな舞台装置がぴったりはまるなぁ…。
あと、愛月さんのグイド司教、凛城さんのパッツィ、松風さんの親方、翔先輩の「欲~~~~~~!」などなど、いいとこたくさんあるのです!!が、きりがないのでこの辺で!!
ともあれ、「異人たちのルネサンス」は、いいとこいっぱいあるから!!!!てゆうか好きな人も!!!!!いるから!!!!!!!!!そこんとこよろしく!!!!!!!!ということを書けて満足です。
田渕これからもよろしくな!!!!!!!!!!!!!