これから菫も咲くでしょう

宝塚と、もろもろと

カルトワインを見たよ

宙組東京建物brillia hall公演「カルト・ワイン」を観てきました。

すっごく!面白かった…!!!

この作品を観れて、熱狂できていることが本当に幸せです。

忘れたくないので、思いのたけを記しておくことにしました。

ネタバレまくりです。

 

カルトワインについて

この舞台の疾走感が大好きです!!

取り扱っている題材や起こっていることを取り出していくとシリアスなことばかりなのですが、でも舞台自体はコメディよりの、ハイテンションミュージカル!なのがすごく癖になってしまう。

癖になると言えば、色んな出来事が詰め込まれているのに、説明台詞とかは必要最低限にそぎ落とされて、とにかくスピーディーに話が進んでいくところも、すごく、癖になる。見逃してはならない、聞き逃してはいけない、という緊張感につながっていた気がします。それをけん引する演者さんたちの集中力がものすごかった。まるで自分がいなくなるような、舞台の一部になるような、没頭する観劇体験でした。だからこそ「も、もう一回…!」と思ってしまう。

そういう、楽しいけれどヒリヒリする、相反するものがギュウギュウに詰まっている舞台だなぁと思うのです。あとラスト!あのラストがものすごく好きです。

ワインの価値は誰が決めるのか。では人は?人の価値は誰が、どうやって決めるのか?

決められた価値は変えれないのか?

主人公の走り抜けた先にある答えが、まさにちょっぴりビターで、でもつい笑ってしまう爽快感!本当に大好きです!

 

シエロについて

桜木さんのシエロ、なんか、なんかさ、罪深すぎない!?と半ギレになるくらい好きです。あの私、長年「誰のものにもならない」萌を抱えて生きてきてるので…。

飄々として、軽やかで、何も持たずに生きてきた男の子。

でも心はあるよ、心はいつだってあった。誰にも見せずに抱えてきた、そういう男の子を、好きにならずにいられないでしょう!?!?!?何なのもう!!!!ありがとうございます!!!!泣きそう!!!!!(情緒が)

栗田先生の桜木さんに対する「笑顔で千の感情を表現できるのではないか」の評に膝を打ちまくってしまったし、それを「詐欺師に必要な才能」としたのに感嘆してしまうんですよね。

そしてあのパッとした笑顔を向けられたとき、確かに心を揺らさずにいられない、さ、才能あふれる~~~~~!!

でも、シエロの根底にあるのは「覚悟が決められなかった自分」なのかなぁと思うのですよね。

何だってすると決めたはずなのに、できなかった自分。だったらマラスに入ること自体拒否すればよかったのにできなかった自分。結局「おっさん」にアメリカを見せることができなかった自分。

今度こその覚悟がチャポさんのところに行くことで、そこから抜けることだったのかなと。

最後の覚悟こそ彼がやっとできたことで、だからこそすごく爽快感があるのかなぁとも思うのです。あぁ、本当に好きだな…!

あと、シエロにとって「フリオとモニカが幸せになること」が最優先なのが、「ホントにお前は勝手な奴だよ!!」ってなるんですよならざるを得んでしょ…。

あの小切手を渡すとこの「ん」がズルいんですよね…何でもないことのように渡してきてるけどお前、お前さぁ…!!ってフリオの気持ちになってしまう。

フリオやモニカ、ディエゴさんにとってのシエロの価値は「シエロであること」ただそれだけなのに、シエロ自身はそうは思えない、フリオにもずっと動かせないものであったのが辛いなぁと思うのですよね。そのくせ、「でもお前らこれ必要なんだろ?」って何もかも差し出してくる。勝手で、ズルい。ひどい人だ。でもどうしたって憎めない。罪深い…!!

シエロが最終的にどんな夢を見るのか、それは具体的には示されていないのですけど、私は、南の島でやたらと飯と酒の美味いレストランが繁盛するの、すごくキラキラした夢だと思うのですけども。どうなんですかね。でもそういう夢があってもいいじゃない…!と思えるのがとても良いなぁと思うのです。カミロじゃない顔で、笑っててほしいな。罪深い人だよ…!!(情緒が)

 

フリオについて

もえこちゃん(瑠風さん)、フラれるの似合うね…。ってなってしまった。

二幕でフリオがアマンダの返事を「待ってる」ところで「あっ…」ってなって、試飲会にボストンバッグ持ってきちゃったとこで「ああっ…」ってなって、酔っぱらってからじゃないとシエロのこと言えなかったのに「あああああっ…!」ってなりましたよね。

いや!幸せになってほしい!!ホントに!!心からそう思ってる!!

でもフラれるのめちゃくちゃ似合うね…。何かしらこの気持ち。

フリオは、シエロに振り回されてるって、自分も周りも思っている気がするのですが、フリオの方が頑固で、最終的にシエロに決断を迫るのはフリオなのが面白いなぁと思うのです。

ホンジュラスにいた頃のシエロにとって、フリオとその家族は、帰り道に小さな家から見える明かりのようなものだったのかなって思うのです。他人の家で、自分のものではない、でも微かに心が温かくなるような明かり。

でもフリオの「アメリカに行こう」って言葉は、もっとずっと強い光だったんじゃないかと思うのですよ。自分の中に初めて灯った希望という光。

シエロにとってのフリオは、そういうものを見せてくれた人なのだけど、絶対一生言わないだろうし、フリオも一生気づかないんだろうなってとこが猛烈に好きです。てゆか、フリオはシエロにお金のこととかアマンダのこととか、いろいろ罪悪感を持ってたりもあるのでしょうけど、シエロは全然気にしてないのって、「もう貰ったから」なんだろうなって思うのですよね。でもフリオにとってはそんなの全然、渡したうちにも入らないしむしろ助けてもらってるしでホントにホントにお前は勝手な奴だよーーーーー!!!ってそりゃなるよ!!シエロってやつはズルい人だよ…!

しかし凸凹しながらどこまでも対等な二人がめちゃくちゃときめきますね…。ずっと二人でいてくれ…。

 

アマンダ、ミラさん、モニカについて

カルトワインに出てくる女性陣、皆さん背筋がピンと伸びてる感じがしてとても好きです。

まずモニカちゃんが「天使か」って感じなのですけども、天使でしたね…。

しかしシエロとフリオにとって、モニカちゃんが「絶対に守らなければならない唯一」になってしまったことを、モニカちゃん自身はどう思っていたのかなぁとちょっと気になるところです。

いえ、私が「シエロみたいな人がそばにいたらそんなの…恋に落ちちゃうじゃん!!」信者であるだけなのかもしれませんが。でも、でもあんなの…恋に落ちちゃうじゃん!?

だからこそ二幕の「10年」って年月の飛び方が上手いなぁって思ったのですよね。少女から女性になる人にとっての10年と、もうすでに女性だった人にとっての10年ってやっぱり違うと思うので。

別の場所にいる人、忘れられなかった人、思い出してしまった人。それぞれに横たわる10年の違いが面白いなぁと。

アマンダちゃんはさ、シエロとフリオ、二人と出会ったタイミングが悪かったよなぁ…!と思ってしまいます。二人が「少年」のうちに出会って、そこから道が外れて一気に大人になったもう一人に再会してしまった。わっと揺れてしまうの、無理ないと思うのですよ。

てゆうかシエロがなんかもうズルいじゃないですか!!なんかもう!!!アマンダに対して、「可愛い先生」とかいうくせに、ポンと置くような、そういう口調なの本当にズルいと思うんですよ!!

シエロは、アマンダに対して「あげられるものは何にもないよ」って示してるようなところがズルいなって思うんですよね。ごめんねって、最初っから謝ってるみたいで。そんなの、そうじゃないんだよ~~~~~!!!ただ、私が、あなたに何か、あげたいんだよ…!!ってなっちゃうじゃん!!ズルいんだよ~~~~~~!!!

あと、フリオにあったのが料理人の才能で、シエロにあったのがソムリエの才能なのも、残酷だなぁと思うのです。シエロの才能こそ、ホンジュラスにいた時では芽生えることすらない才能だった。それを見出してしまったこと自体に、彼女は魅入られてしまったんじゃないかなぁと。

シエロを忘れられなかったアマンダ、カミロに心揺れたアマンダ、彼女が最後に選んだものが「ソムリエとしての自分」であることが格好いいなぁって思うのです。

シエロがアマンダをどう思っていたのかが見えるようで見えないのがいいなぁって思うのですよね。だってもう知っていたから。先に、フリオの好きな人って知っていたから。その切なさがまた良いなって思います。フリオはフリオで「それだけじゃない」って言うのもまた好きです。ところであの刑務所の中でようやく自分になれたシエロの見せる笑顔が泣きたくなるほど好きです…!

そしてミラさん!!まさに狂乱の真ん中に立つ女だぜ…!!ってなるんですけども!!

ミラさんは、カミロという青年に酔わされた自分をどう思っていたのだろうってつい考えてしまいます。悔しかったと思うし、してやられたとも思うし。明るみに出たら切り捨てる、それは決まっていたことだと思うのですが、でも、手に入れたい、彼こそ手に入れたい、そういう気持ちもあったんじゃないかなぁと。たとえラベルが違っていても。ラベルが違うことを、知っているのに。

そう思ったのはアマンダがシエロを問い詰めているところを見たミラさんから、パッと嫉妬が見えた気がしたのです。パッと、赤ワインがまかれたような濃密な嫉妬。くるっていく歯車みたいでゾクゾクしました。これからもっと濃密になるんだろうな…!楽しみすぎる!!

 

チャポさんたち男性陣について

シエロくんさぁ…年上の男に、弱くない???

思わずそう言ってしまうほどにチャポさんとディエゴさんに影響されすぎてるんですよあなた!!うう、最高です!!

ディエゴさんは「親代わり」なことは示されているけれども、どうしてシエロに親がいないのかは語られてないわけですが、事情があったようにも見えるし、ただ、捨てられたようにも見えるのが、シエロ自身の親というものへの思いの揺らぎのようでもあって、とても好きです。

シエロは、カミロのときでも子供っぽい笑顔を見せるときもあるのだけど、言い方まで子供になるのはフリオやディエゴさんの前だけだと思うのですよ。うう…罪深い!!

ディエゴさんが「お前が本当にやりたいことなのか?」とシエロに聞く場面、大好きなのですが、あの問いかけ自体はむしろフリオにこそ深く刺さったのかなとも思うのです。シエロが本当にやりたいこと、まだ見つけられないもの、見つけたと嘯くもの、俺が、見定めてやろうと思ったんじゃないかなと。だってシエロはフリオのやりたいことをずっと知っていたのだからと。

ディエゴさんがいなくなってからも3人の暮らしは続いていくの、歪で、残酷で、生きてるなぁって思うのですけど、でも忘れたことなんてないってシエロが示すのが、お前は…そういうやつだよ!!ってまた逆切れしてしまう…好きです…。

 

チャポさん!!!!好きです!!!!!結婚してください!!!!!

思わず叫んでしまう格好良さですよ…あーちゃんの悪い男、最高です!!

カミロに「演技のし過ぎで勘違いしてんじゃねーか?」っていうところ、怖すぎたのですが。逆らっちゃいけない人だと瞬時にわかってしまうあの迫力よ…それまで何となく愛すべきイケオジみたいな顔してたのに、ズルい…ズルいです!!ってなります。

チャポさんはシエロのこと、「毛色の違った飼い犬」くらいにしか思ってないんだろうなとしみじみ感じるのですが、「でも使えるんだよなこの犬」くらいの思い入れは見え隠れしてて、そこになんかグギギと心がうめいてしまいますね…好きです…。

わんたくん、一幕の兄貴とインテリヤクザ、全然違う柄の悪さでときめきました…!てか兄貴が!!兄貴が怖すぎるのだけど!!

あの兄貴が怖くないとシエロが「抜けられない」ことが分からないから怖くて大正解なのですが、でも、怖いよ!!最高です!!

そして二幕ではちょっと残念なワイン愛好家でそちらも全然違ってて、最高です!!わんたくん大好きです!!あの婦警さんへの対応、感じが悪すぎる!!何あのハンカチ使い!!好き!!いたるところにわんたくん、最高でした!!

いたるところに、と言えばすっしーさんもですが。すっしーさんの、成功したからこそ、成功したのに、の部分がすごくよかったです。パパ、これからどうするのかしら…。きっと、娘たちが決めたことを、受け入れてくれるのだろうなぁと。そういうパパでした。素敵だ!

なっつさんの刑事さんもよかったな。声が!!格好良すぎる!!そしておそらく情報提供者のフリオから聞いた事情でシエロに微かな同情を見せるのも、正義の人だなぁと思うのです。だからこそ、その後のシエロの開き直りにも似た「何が価値なのか」という問いかけが染みるなぁと。

風色くんのオークショニアも格好良かったなぁ!物語の始まり、狂乱の始まりがあんなにスマートに始まるのが、何かますます怖い気がして。スムーズに、いつの間にやら、狂っていく。その場にふさわしい案内人そのもの。

真白くんミゲルのチャーミングさよ、永遠なれ!!と思ってしまいますね。チャポさん大好きすぎる。可愛い。でも暴力に一切躊躇がないの、治安が悪すぎる!!好きです!!

とにかく、宙組の男役さんたち、みんな声がいい!!!すげぇ!!!ってなりました。あと皆さん柄シャツお似合いですねと。はー、今後も楽しみしかない!!

 

桜木さんのオタクによるあれこれ

・シエロもカミロもあきらめが早いというか切り替えが早いとこがなんかうっかり切なくなる。殴られるのことも抱くことも、ちょっと視線を落としただけで受け入れてしまうの、処世術なんだろうけど、切ない。それはそれとして自分が殴られることには何の感慨も抱かないのに、フリオのことは心配するの、お前さーーーーーー!!!ってなりますね。はぁ、好き。

・フィナーレ、釘付けで見たはずなのに記憶が飛んでる。辛い。辛かったことは覚えてるのに。辛い。少しも早く音源だけでもくれ…。

・一幕のシエロのあのぺらっぺらな体つきも、二幕で大人の男性になっているのもあまりに好きすぎるし魔法かな?ってなります。タトゥー、あまりに、罪深い…

・桜木さんももえこちゃんも、感情を振り絞るような声を出すのがあまりにうまい。うますぎる。そこにあーちゃんの「支配」を感じさせる声が混ざるとどうしていいのかわからなくなりますね…あと声と言えばさくらちゃんもすごく素敵…音源…。

 

美味しいワインと過ごした時間はいつだって格別なのだと、そんなことを思ったり。

熱狂のごとくはまってしまった、この作品がこのカンパニーで見れてただただ幸せです。

 

異人たちのルネサンスを観たよ

 大変楽しゅうございましたよ、ということを残しておきたくて、冬。

 そうなんですよとても好きなんです!なので好きポイントをつらつらと上げさせて頂きます。

①主人公がいいヤツ

 いえ別に「相続人の肖像」のことを根に持ってるわけではないんですけどね。えぇ、全然そんなことないんですけど。全然。

 ともあれ、真風凉帆さん演じるレオナルド・ダヴィンチがとてもいい人だなぁってそこが私のときめきポイントなのですよ。

 この作品の中での「レオナルド」は美術への才能はずば抜けているけれど、むしろそのせいで幸せから遠ざかることになることの方が多いし、他に何か、権力とかそういう力を持っているわけではない普通の青年として描かれていて、そこがすごくいいなぁと思うのです。親からは疎まれはしたけれど、仕事をしてきた親方からは愛され、友からは信頼されて。そういう普通の、光り輝く未来を持とうとしている青年。

 だからこそ罪を重ねるカテリーナが触れることを恐れる青年。

 ここがね!!すごいね!!!ときめきポイントなんです!!!

 真風さんのレオナルドは、淡い清らかな初恋が、これから続く恋になったときの色気と、それにまつわる欲望への後ろめたさがめちゃくちゃに色っぽくて「ひひぃ…!」ってなってしまうのですが、これってレオナルドが「いいヤツ」だからこそだろうなぁって思うのです。主人公を愛せるって本当に良い。別に根に持ってないですけど。良いです!!

 

②女の子たちがみんな愛しい

 大事なことです。(真顔)

 このお話の中の女の子たち、みんな、いいよね…!と私なんかは握りこぶしなんですけども。蒼羽りくくん演ずるボッティチェリと語り合いたいくらいなんですけども。いやそしたら「まぁでも僕のヴィーナスが一番だけどな!」って言われるだけでしょうけども。うんまぁ、うん。

 まずは星風まどかちゃん演ずるカテリーナですよ!とても可愛い!!そりゃロレンツォ様も見初めちゃう!仕方ない!!でもダメ!!!

 なんというかまどかちゃんって「溌剌とした美少女」がとてもよく似合う女の子なんだけど、今回のカテリーナは「そうであった女の子」であり、今は「自分の美しさという罪に苦しむ」女の子なのだなぁと。それが哀しいし、切ない。

 話の中ではカテリーナがどんな罪を犯したのか、というのははっきりとは出てこないのですが、でも匂わされてはいると思うのです。「お前が美しいからだよ」と言われて何かをされたこと。はっきりと示されないほどの苦しみを負わされた少女。夢白あやちゃんが少女のころのカテリーナを演じているのですが、彼女が「レオナルド」って呼ぶ声がまたいいなぁって思うのです。優しくて柔らかい、もう失われた声。

 美しいカテリーナは、自分のことを罪深い、汚らわしい存在だと思っているように感じたのです。だからレオナルドに見られることに「耐えられない」。そんなことないのに。

 カテリーナが、だからその罪による息苦しさから解放されたときの笑顔が、本当に光って見えたのですよね。美しくて、清々しい。永遠に残る笑顔に、いつもハッとしてしまうのです。好き…。

 カテリーナが心からのお礼をサライに告げて、そうしてお金で揺れたサライの心がまた、今度はカテリーナの心によって揺れてしまうところ、辛くて、でも好きです。サライは結局、自分のことを一番責めているだろうから、観客である私はサライを責められないなぁと思ってしまうのですよね。だって抜け出したいって思ったことを観客である私は知っているのだから。サライがどんな場所にいるか、この環境から抜け出すのに手っ取り早いのは「金」であると思っているのも、知っているから。悲しいけれども責められないのですよね。だから余計に悲しい。最期にあっきーさん演ずるペルジーノが肩を抱いてくれるのに救われます。でもきっと、サライは自分を許さないのだろうなぁ。

 カテリーナだけじゃないぞ!美人三姉妹も好きだぞ!!工房チームは清涼剤、という言葉を噛みしめる今作品、美人三姉妹も可愛さで清涼剤となっている!!可愛い!!男女入り混じってわちゃわちゃしているの、本当に良いです。

 清涼剤と言えばのミラノ組、イザベラ可愛いよイザベラ。あの男は最低だからとっとと忘れて次に行こうな!!って思っているのですが、本当にとっとと忘れて次に行ってくれそうなとこが好きです。イザベラ。

 そしてそして、みんな大好き純矢ちとせ様演ずるクラリーチェ様ですよ。ロレンツォの正妻、愛人と同じ館に住まわされるという屈辱に平然として見せるクラリーチェ様だけど、心は違う。心はまだ違うのだ、というところが見え隠れしてしまうところがとても好きです。

 最後、ロレンツォもクラリーチェも「この先の自分たちに「愛」は手に入れられるのか」という問いをぶつけられるのだけども、二人ともきっと手に入れられないことを知っていると思うのです。でもクラリーチェは、彼女は「かつてはあった気がする」と思ったんじゃないかなぁと。かつて、この手の中に「愛」があった気がする。初めてロレンツォを見た日かもしれないし、嫁入りの日かもしれない。教会でだったかもしれないし、「これからは姉と呼んでね」とジュリアーノに言ったときだったかもしれない。

 「愛」はあったのだ。彼女はなんだかそう言っているように見えて、切なかったです。せーこさん大好き…。

 あと酒場ダンサーズのえび様となっちゃんも最高だし、おかみさんずなあおいさんとかのんさんも、目が離せない歌手せとぅーも大好きですよ!じゅっちゃんは今回男の子のサライだけども!ともあれこのお話の女の子たち、宙組の娘役さんたちは本当にいいぞ…!

 

メディチのご兄弟

 悔しいけれども「いい…」と言わずにいられない。

 人を食ったようなお兄様ロレンツォ様を芹香斗亜さんが演じ、そんな兄に対抗心を持っている才能なき弟を桜木みなとさんが演じているわけですよ。ありがとうございますじゃないですか…ありがとうございますですよ!!!

 そんでもって、芹香さんのロレンツォさんが「持っているがゆえに孤独」であったのに対して、桜木さんのジュリアーノさんが「何もないがゆえに孤独」であるって言うのも「す、好き…!」と顔を覆わずにいられないのですよ。好き…!

 ジュリアーノさんの見せる兄への強烈な敵愾心、反抗心、というのがどこからきているのかというと、「全てのものが兄を通して自分に与えられる」ことなのかなと思ったのです。ロレンツォがいない自分に価値はないと突きつけられてきた人生。

 でも周囲も、ジュリアーノ自身が一番そう思っていただろうに、ロレンツォだけはそう思っていなかったことがふと現れたのが「やはりジュリアーノか」の場面だと思うんです。「恋敵」は、やっぱり、ジュリアーノ。ロレンツォにとってそれ以外は、考えられない。

 ここね、めちゃくちゃね、興奮したんですけど。あのね、誰もね、分かってくんないよね。

 ここはね!!!!!!ときめきポイントですよ!!!!!!!!田渕ありがとう!!!!!!!!!!!

 

④主人公がきっちり最後に締める

 あのラストがね、好きなんです、私。

 レオナルドは「依頼であればどんなものでも描く」人間だったのだろうと思うのですよね。それこそ宗教画でもなんでも。依頼があれば、そこに心などなくとも。

 だから親方は業を煮やしたのだろうし、レオナルドも「どうしても描きたい」ものを見つけてどうしていいのか分からなくなったのかなと。

 でもレオナルドは描いた。描き切って、そうしてロレンツォの下を去っていく。腕の中に天使を抱いて。

 それってめっちゃ格好いいじゃないですか!!!!!!私は宝塚で一番大事と思うのは主人公が格好いいことなんです!!!!!このお話の主人公は、格好いいぞ!!!!!!好き!!!!!!

 

⑤衣装と舞台装置もいいよね

 田渕先生の作品、衣装いつもいいなぁって思っているのですが、今回で舞台装置めっちゃいいやん…!って思ったのでした。お祭りの時と、あと教会がすごくよかったなぁと。大劇場は大掛かりな舞台装置がぴったりはまるなぁ…。

 

 あと、愛月さんのグイド司教、凛城さんのパッツィ、松風さんの親方、翔先輩の「欲~~~~~~!」などなど、いいとこたくさんあるのです!!が、きりがないのでこの辺で!!

 ともあれ、「異人たちのルネサンス」は、いいとこいっぱいあるから!!!!てゆうか好きな人も!!!!!いるから!!!!!!!!!そこんとこよろしく!!!!!!!!ということを書けて満足です。

 田渕これからもよろしくな!!!!!!!!!!!!!

パーシャルタイムトラベルについてまだ語りたい

桜木さんが時空を駆け抜けていた間、私もまた東京⇔神戸間を飛んでいたのです。

そしてパーシャルタイムトラベルは千秋楽を迎えてしまいましたが、私の中での盛り上がりはまだまだ終わっていないのです。

何回録画(細切れ)見てると思ってんだよ!!!!!

そんなわけで、記憶と録画を頼りに個人的なツボを残しておきたいと思います。書き残しておくことで、未来の私が確実に感謝するってことが分かりかけてきました…記憶って、どうして薄れてしまうの…。全てがうたかたに消えゆく…。

 

さてはて、好きなとこ。

あの始まり方正直神だと思うんですけど皆さんどうよ?(そっから)

薄い幕の向こうでジャンがガタゴトとライブの準備をしているなかで、オルゴールみたいにきれいな音楽が流れていて(しかも二幕のクライマックスの曲で)。で、ライブから始まるの。あの始まり方がすごく好きなので、いつの日かスカステさんで放送される際にはぜひ客席がざわざわしているとこから始めてほしいなぁ。街角の、誰も知らない、でも聞こえて来たら足が止まる、そういうライブの始まりがワクワクしました。

 

私、潤奈すばるくんのエメがすごく好きなのです。ジャンに助け舟を出してもらって、クシャって思わず泣き顔になっちゃうとこがいいなぁって。こんなふうになりたかったのに全然なれない、そういう涙のような気がして。

私はパーシャルタイムトラベル、とても好きなんですけど、結構みんな、特に現代の男の子たちが「今の自分じゃない自分」になりたいと思っているとこがすごく好きなのです。ほら、自分のこと好きじゃない人好きだから…。

ジャンも、リシャールも、エメも。こういうはずじゃないのにってもがいてたり、あきらめかけていたりするとこがすごく好きだなと。

リシャールとエメは「ジャンみたいに」と思うところがあったのかもしれませんが、ジャン自身はそんなことなくって、てゆうかジャンは流された後に「あれ?」って思うことが多い人生だった気がするんですが、どうなんでしょう。そういうところが!!お前、そういうところが!!!弱点なんだけど、好かれるとこでもあったのかなと。でも本人的には弱点でしかなかったのかなぁとも思ったのです。こんなはずじゃなかったって、多分ジャンが、初めの頃は一番思っていたのかなと。

アパルトマンの面々と歌う「分かれ道」の歌が好きです。何かを選んだことで、何かが決定的に離れてしまう。その繰り返し、繰り返しの中で、あなたは何を選ぶのか。それはきっと誰にでも起こっていることで。

二幕でリシャールに「お前みたいなことが起きれば」って言われてジャンはすごい怒るんですけど、特別なんかじゃないってジャンが思っていることに私はぐっと来たんですよ。俺は特別なんかじゃないし、この感情だって特別じゃねーよって言ってるみたいで。特別なんかじゃなくって、ただ、好きなだけ。好きになった女の子のところに、行きたいだけ。ジャンの、考えなしで、流されやすくて、でも、こうと決めたら絶対なとこが本当に好きでした。私が好きな分まで、君がいつか君のこと好きになれればよいよねって、ずっとずっと思ってたし、今でも思ってます。本当に、好きだ。

 

好きと言えば私はまどかちゃんのテスがものすごく好きで。中世でジャンに初めて会ったときに「誰こいつ」って顔してるのもすごく好きだし、うぇぇぇぇええええい!!ってお嬢様を投げ飛ばすのも好きだし、役に立たないピエールの代わりにシャーロットをジャンから隔離するのも本当に好きなんですけど(並べるとすごいヒロインだな)、私が一番好きなのは、ジャンがタイムマシンを湖に沈めて戻ってきたときの「戻ってきた!」って声なのです。切なくて、健気で、愛しくて。

多分テスは、今まで自分の好きな人が、「自分のところに」帰ってくるなんて夢見ることもしなかったんじゃないかとこの声を聴いて思ったのです。ハチクロの山田さんじゃないけど、「自分の一番好きな人が、自分のことを一番好きになってくれる」っていう願い事が、ずっと、ずっと、叶わなくて。ジャンが初めてだったのかなと。初めて、私のところに、私のために、戻ってきてくれた。

あの時のテスが本当に好きで、私は健気さに毎回涙ぐんでしまって、だからこそ毎回新鮮にジャンの詰めの甘さに「おめーーーーーはよーーーーーーーーー!!!」ってツッコミを入れてました。本当に楽しかったな…。

 

ともあれ。場面ごとに書いていこうと思ったのに、もうバラバラ!!

一幕で好きなとこは他にも希峰かなたくんの諦めの早い隊長だったり(ツッコミ力もあるとこも最高)、バーソロミューのすっごいいい声な「ビアーン」だったりいっぱいあったりするのですが(二回目にタイムスリップしたときの兵士たちの反応も大好き)、サミュエルにめちゃくちゃ笑わせて頂きました。朝央れんくん、素敵でした!

私がサミュエルの台詞で一等好きなのは「私は軍神サミュエル!神にすべてを許された男!」なのです。あー、ここまでジャンの言うこと信じちゃったんだ…あー…とこのセリフだけで伝わってきて。いい人だな!!とゲラゲラ笑わせて頂きました。大好き。

あと、子熊のような遥羽ららちゃん…好きにならずにいられない…!

ジャンは三度目のタイムスリップは運命の恋に向かって飛んでいくわけですけども、現代に戻されて、シャーロットそっくりな女の子に出会うって言うのがすごく皮肉で、まさに「馬鹿にしやがって…!」なんだと思ったんですよ。

テスへの恋は本物?

ジャンはテスに会えない時間、ずっと問いかけられている気がしたのですよ。好きなのは誰?大事なものは何?

会えなくなる人は、誰?

ジャンは「俺がいなくなっても悲しむ人なんていないし」とけろりと言ってしまような男の子だったのですけど、そんなことなかったことに、いつの間にか気づけていくところがすごく好きです。アパルトマンのみんな、ジャンのことそれなりにちゃんと好きなとこがいいなぁって。

そしてジャンも、アパルトマンのみんなのこと、それなりに大好きなのよ。そこが本当に好きなのです。好きなものも大切なものもそれなりにたくさんあって。

でも、選ぶ。

選んだ先に別れがあるのは分かっていても。

未来に一緒にいるのはあの子って、選ぶ。

そういうのが私は本当に好きなんですよ…!!だってそんなの、恋じゃないですか!!

 じゃあ選ばれなかった方は、どうなるの?という問いかけにはまだうまく答えはないのですけども。でも、ジャンは選ばなかった方にもすごく思いを残せるようになったことがいいなぁって思ったんです。アパルトマンのみんなとか、リシャールたちとか、大事で、好きで、でも行かなくちゃって別れ方をするジャンがすごく好きです。ジャンはシンガーソングライターにならなかったけど、立派な侯爵様にはなったんだなってやんわりと示されているのが正塚先生っぽくって私のツボです。てか、プログラムの見開きにいらっしゃいます桜木さん、めちゃくちゃ格好良くないですか…?あのホント、ありがとうございます…ありがとうございます…。お礼を言うことしか私にはできない…。

 

 私、二幕でジャンがアパルトマンのみんなに背中を押してもらってテスを探しに行って、そして中世ではテスがジャンを想っているところで流れる曲がとっても好きなんですけど。あのあとの中世の3人の関係性もとっても好きでした。テスとシャーロットとピエールの。

テスはピエールと幼馴染と言っていたけれども、シャーロットともやっぱり昔馴染みだったのではないかしら。昔から知っていて、昔からシャーロットに振り回されていて、昔から、ピエールはシャーロットが好きだったのかなと。ずっと知ってて、ずっとずっと知っていて。

そういう女の子を嫌味なく演じていたららちゃん本当にすごいなぁって思いましたし、何よりもうめっちゃ可愛かった!!もう、ららちゃん可愛かった!!(溢れた)

まどかちゃんのテスにとって、好きな人の好きな人だったシャーロットが、いつの間にか大切な自分のシャーロット様になっていたのも良いなぁって思ったのです。置いてけぼりのピエールもね。この三人、可愛かったなぁ。ピエール役の瑠風くんは、あんなに真面目なのにコメディの間がすっごく上手でいつも笑わされました。見てると楽しい男役さんだなぁと。好きです。

好きと言えば、私現代のテスもすごく好きでした。パキパキっとしてて、ジャンにちゃんと厳しくて。

フワフワしていたジャンが、ちゃんと過去、中世で人生を全うするんだろうというのが現代のテスに表れている気がしたのです。思ったのですが、ジャンはこの後、現代で「後片付け」してから中世に行くんじゃないかと。別れを言うべき人に告げて、持ち物をきちんと片付けて。

テスのところへ帰っていく。

そんな未来が見える気がして。現代のみんなは寂しいと思いつつも受け入れて、中世に行ったジャンもそれは同じで。

もう会えない、さみしくて、替わりなんかいなくて、でも気持ちはいつもあるから歩ける。

そういう未来が見える気がして、すごく楽しく幕を閉じられる気がしたのです。

てゆうか出てる人みんな好きですし、このお話が大好きですよ…!見るたびに泣いて笑って楽しかった!って劇場を後にしておりました。本当に楽しい日々でした。

 記憶は全部遠ざかっていくし、私の目が映したものがスカステで映っているかは分からないのだけども。

すごく好きな作品で、すごく好きな人のことを観れた、この幸せな感覚は多分忘れないと思う。 

パーシャルタイムトラベルを観ました

私この話めちゃくちゃ好きなんですけど…!!

ということを書きなぐりたくてですね。ネタバレ満載で感想を。初見の記憶で書いているので間違っているところがあったらすみません。また見る機会があるので、その時修正するやもです。

 

とにかく、私はこのお話大好きですよ…!正塚先生!!

 

桜木さん演ずるジャンは、やりたいことや目指すところがあるけれども、いつもどうもうまくいかない、いつも分岐点で、何か間違えてしまっているような、そういう自分への苛立ちと言うか、もどかしさを抱えている青年で、でもきっと根はまっすぐなんだろうなぁって思える人物像でした。憎めないというか、「頑張れ頑張れ!!」ってつい応援したくなっちゃう若者で。ずんちゃんぴったりだなぁと。

ジャンが一幕で中世に、というか運命の恋に思いを馳せるのって、「今」からの逃避な部分も大きかったと思うのです。もちろん、シャーロットは可愛いし、だってららちゃんだもん可愛いに決まってるよ!でも、「救世主」に祭り上げられた自分への未練もあったんじゃないかなと。今は何にもなれない、何をしてもうまくいかない自分が、あの時代なら上手くいくんじゃないかって。

そういう、幻の恋が、ちゃんとした恋でもあったのが、ずんちゃんの「今更だよな」って声に現れてる感じがしてそこが好きだったのです。

シャーロットが別の人と婚約しているとこに出くわしたとき、芽生えかけた恋をそうやって手放すの、やっぱり、好きだったからだと思うのです。

まどかちゃん演ずるテスは、多分ジャンが消えてしまったときから「どうしよう」って思っていたのかしらと。だってあの方はシャーロット様を想われていたのにと。それでもピエールやシャーロットのことを思えば婚約を止めることもできないしって。それこそ辛かったと思うのですよ。そうしてジャンが現れて、「今更だ」という言葉でシャーロットの幸せを願ったときに、ジャンに恋をしたんじゃないかなぁって思ったんですよね。

私は二幕になってジャンが「あの時は浮かれてたんだよ」って冷静にタイムスリップを振り返るのが地味にツボでして。確かに中世にいるときのジャンってテンション高めなんですよね。非日常のテンション。(「今のは狼!」とか典型なんじゃないかしら)

でもまた日常に戻ったときに。何も特別なことなど起こらないときに。

あの人のことを考える。あの子と会いたいと、願う。

そうやってジャンは恋に落ちたのかなぁって思ったのですよね。私そういうのすごい好きなんですよーーーーーー!!!

二幕でジャンとテス、そしてシャーロットとピエールで続いていく歌で泣いてしまった。「今は忘れがたく 心離れがたく」どうしてかわからないけどって、そんなの恋じゃん!?マジで!!!

でも、現代のテスがジャンに向かって「その子のこと、ちゃんと好きになってね」って言うとこ、あれってちょっと皮肉だなぁって思ったのです。非日常に浮かれてない?大丈夫?って確認されているのかなって。

そういうジャンが、中世に「戻って」、こちらを日常にするよって示してくれた時、正直泣いたし、ときめきで心臓止まるかと思いましたよね…。

いやもう本当に、すごく好きなお話でした。

もちろんツッコミどころはたくさんあるし、ご都合主義なのも否めないけども。終わってから、スキップして帰りたくなるような、私にとってはそういう、笑いだしたくなる、胸に抱いてあったかくなるお話だったのです。観れて本当によかった!

 

以下、箇条書きで好きなとこ。

・ずんちゃん格好いい!!!なんかもうああいうのズルすぎるやめてありがとうございます…!ジャンが「ありがとう」とか律儀に言うとこがとても好きです。なんかもう、好きになっちゃうじゃん!!そんなの!!(顔を覆う)

・瑠風くん(もえこちゃん)の声がやっぱり私とても好きです。堅物ピエールが、だからこその笑いを取っていてさすがでした。シャーロットにぐさぐさ言葉で刺されているとこ可愛かったー。

・ららちゃんとまどかちゃんの主従関係がとっても素敵だった!テス、実はシャーロットにあんま遠慮してないよね(笑)だから本当に、「友達」なんだなぁってあったかかった。

・ららちゃんのコメディセンスよ…!!言葉一つ一つがおもしろすぎるよ!!「ジャン」だけで笑わせてくるの最高でした。可愛かったー。

・瀬音リサちゃんの低い声が大好物な私には最高のご褒美公演でしたありがとうございます…!

・アパルトマンの皆さん面白すぎた。そしてあったかいんだなー。大家さんの人柄かな(笑)ロンドンに行くジャンにカンパを渡すとこが好きです。「絶対買ってこないでね」は積極的に使いたい台詞No1

・無理無理の歌が大好きすぎてね。てか、コーラスがすごい!

・ラストのキスシーン、シチュエーションにときめきすぎたし、「やっとできてよかったなあああああ!!」って感慨深さも相まって、泣きました私。

・フィナーレのすっしーさんの格好良さは凶器。

 

とりあえず、こんなとこかな。また観るのが楽しみです!!

17年宙組公演王妃の館を観ました。

もう千秋楽もとっくに終わっていますがね!!

それでも自分なりに感じたことを書き留めておきたいなと。私はこの公演、とっても好きでした。ちなみにいまだに原作は読んでいません。

 

ムラの初日付近に観た時は愛月さん(愛ちゃん)の金沢さんや、蒼羽さん(りくくん)のクレヨンちゃんと言った濃い面々がが笑いをかっさらっているように感じたのですが、後半に行くにつれて朝夏さん(まぁさま)や実咲さん(みりおん)のやり取りに笑いが起こるようになってて、観るたびに新鮮でした。ちょっとした言い方の違いや、間の取り方でこんなに違うんだ!と。毎回わくわくしながら観ておりました。

そして毎回泣いた。見事に泣いた。一樹さん演ずる岩波さんがあたたかくて、でも切なくて。人生なんて思い通りにならないことばかり起きるのだけども、それでも笑えと。笑いながら生きてほしいという願いが切なくて、あたたかくて、毎度泣いてしまいました。はー、好きです。

 

この宝塚版の王妃の館を観ていると、「どんな人にも傷つく言葉がある」ってことを考えました。すごいお金持ちも、(元)売れっ子小説家も、シャカリキツアーガイドでも、いつも明るくふるまっているおねえさんでも。

悩みはあるよ。傷つくんだよ。そういう言葉があるよ。あなたは使ってない?って問われているようで。

だから観終わった後にいつも「自分はどこで笑ったかな」って考えてました。言葉で笑ったのかな。仕草で笑ったのかな。私は誰か、知らない誰か、出会ってない誰かを傷つけるところで笑ってなかったかなと。

そういうちくちくした感じが妙に癖になって、ついつい何度も観てしまいましたし、何より、私はこの舞台に出てくる人たちが優しくて、だから何度も観たくなっていたのかなと。

クレヨンちゃんを「オカマ」って言うのは、「人の痛みが分からなかった」北白川先生と、猪突猛進、自分の気持ちで突っ走って付き合ってない人をパリ旅行に誘う近藤さんだけなのですよね。それって、結構すごいんじゃないかと思ったのです。当たり前に「楽しそうな人たちね~」でするりと受け止められる。

その二人以外は、クレヨンちゃん自身が使いますね。クレヨンちゃんが「あたしなんてオカマよ!」って言うとこ、その言葉はクレヨンちゃんが自分自身を傷つけるものなのに、誰かのために、それを言ってあげるの本当になんといい子なのかと思うのですよ。だからこそ、誰かのために「笑われる」ことをしたクレヨンちゃんが、「俺のために笑え」って言われるのホント、ホント、よかったね…!って涙とともになるわけで。北白川先生も近藤さんも、気づいて、変われる。そこが私は優しいなって思ったのです。だから不愉快にはならなかったのかなと。 

この場面、いろんな人たちが細かく演技してて大好きなのですが、まぁ私はファンなんで桜木さん演ずる戸川君を見ますよ(開き直った)。クレヨンちゃんが言いたくないけど、言おう!ってなっている後ろで、戸川君が心配そうにしているのがすごく好きだったのです。それがあったから、最後に近藤さんとクレヨンちゃんがイチャイチャしているとこに戸川君がニコニコ走り寄っていくのかなと。戸川、クレヨンちゃんに、フォローしてもらってたもんな…。戸川君がただ普通に「クレヨン様っていい人ですね…!!」ってなってるとこが私はとても好きでした。優しいと思うんですよ。当たり前なんだけど、当たり前なとこが。

あ、ついでに戸川君ポイントとしてはみりおんちゃん演ずる桜井玲子さんが「お客様に対して恥ずかしいことをしました」って告白するところ、あの時戸川君が玲子さんを庇おうとするように顔を上げて、でもお客様の信頼を裏切ったことは本当で、でも、って苦悩しているのがとても好きでした…。戸川君、いい人なんだよな…あんまり役にたってないけど…その辺ホント戸川だよ…好き…って…毎回なってました。

 

人にはみんな悩みがある、その大きさは誰にも測れないし、どんな悩みだって本人の辛さは変わらないと思うのです。「もっとつらい人がいる」って、私の辛さの軽減に何にもならなくない…?って思っていたので、金沢さんとミチルちゃん(星風まどかちゃん)のやり取りもとても好きでした。

ミチルちゃんの「見た目にちょっと嘘をつく」って台詞がいいなぁって思ったのです。ちょっと嘘をついてても、パパのこと好きよって。見た目のちょっとした嘘で、それで自分のことをちょっと好きになるなら、自信になるなら、いいじゃないって思うんですよ。そういう受け入れ方をするミチルちゃんが素敵だなって。

ミチルちゃん、純矢さん演ずる早見さんに「オバサン!」って言うとこがあるのですけど、あれってミチルちゃんもちくちくしてたのかなって思ったのです。星風さんのソーキュートさも相まって、金沢さんとミチルちゃん、かなり歳の差カップルに見た目からしてなっていて。「全てを知りたい、パパのこと」なのに見せてくれないのは、ミチルが子供に見えるからなの?ってちくちくしていたのかなって思えたのです。ミチル可愛いよミチル。最終的に問題を解決したのは北白川先生じゃなくて金沢さん(のマネー)で、その金沢さんを幸せにしたのはミチルちゃんなの格好いいなぁ。お幸せに!なお二人でした。

あ、早見さんも素敵だった…!早見さん、恋は諦めてないけど一番欲しいものじゃない感じがとてもいいなって。ピエール(和希そらくん)とくっついてほしいなぁって思うのですが、ピエールもいい男だから早見さんが今一番欲しいものが何かわかってると思うのだけどな。だから、ピエールが東京に職を見つけて「はーい、リツ子!」って現れるのも良いし、定年まで勤めあげた早見さんがフランスに飛んで「お待たせしたわねピエール!」って言うのも良いです。可愛いお二人だなぁ。とても好き!

忘れちゃいけない太陽王真風さんなのですが、結構ひどいんだけども憎めないのがなんかずるいですよね…あと、ムノンと一緒に可愛すぎた。あれはずるかった。ディアナとプティ・ルイのくだりはいつもぐっときてしまいました。最後の大団円、ホッとして追われるのがとてもよかったなと。

 

言葉の使い方で色々と言われていた印象の公演だったのですが、私は観れてよかったと思うし、とても好きでした。みんな幸せ、大団円!で終われるのも良かったなぁと。

 

この公演はみりおんちゃんの退団公演だったのですが。最後の最後、千秋楽でまぁさまに肩を抱かれたみりおんちゃんがはじけるような笑顔で舞台を去っていくのが観れて、私はとっても幸せでした。

これからの旅路が、どうか幸せいっぱいのものでありますように。

 

2016宙エリザ全パターン観ました

 役替わりのA,B,Cパターンを観ることができたので、それを踏まえた感想を残しておきたくて。どのパターンもそれぞれに違いがあって、その違いがどれも納得できて、とっても素敵でした。

 ただ、あの、私は桜木さんのファンなので、贔屓目フィルターがかかってしまうのはね、もうね、仕方ない!!!!!好きです!!!!すごいよかったよ!!!!!!でもルドルフが素敵だったのはもちろんですが、エルマーもシュテファンもとても良かったので、私、私、選べない!!!!し、澄輝さんも蒼羽さんも本当に素晴らしかった!ので、全部語るよ!!!!ただ、結局それぞれ一度しか見れなかったし、思い込みも存分に含まれているはずなので、その点ご了承ください。

 

 さてはて、ルドルフについてですが、思ったのはポスターでの第一印象とそんなにブレがなかったな、ということでした。ポスターを見た時、澄輝さん(あっきーさん)のルドルフには高貴さ、蒼羽さん(りくくん)のルドルフには少年性を、そして桜木さん(ずんちゃん)のルドルフには凛々しさを強く感じて、それぞれその通りだったなぁと。

 ただ、あっきーさんのルドルフは大人びた、まさにハプスブルクの貴公子でしかない佇まいだったのですけれども、「闇が広がる」での怯えた表情を見ているうちに「ああ、ダメだよ、その人にあんまり重荷を乗せちゃだめだよ。子供なんだよ」と思えて心臓がひやりとしました。子供だった。星風まどかちゃんの少年ルドルフが三人の役替わりでニュアンスの異なるお芝居をしていたのがさすがだったのですが、あっきーさんのルドルフの時は少しおとなしめというか、繊細で、大人びた印象の少年だったと思ったのです。その時の印象の少年が中にまだ潜んでいる、大人になり切れない、守られるべき心を持ったまま大人になった、そういう印象のルドルフでした。

 あっきーさんもですが、りくくんのルドルフが特に、ママがそばにいてあげたら違ったのではないかなぁと思ったのです。りくくんルドルフの「少年っぽさ」はあっきーさんのルドルフとはまた違っていて、まっすぐに、親の愛を求めていたルドルフだったなぁと。何となく、あっきーさんとりくくんのルドルフはママの愛が自分にあることを疑っていない感じがしました。愛されている、のに、どうして傍にいてくれないの、どうしてわかってくれないの?その疑いからひびが入っていくような。

 ずんちゃんのルドルフは、誰にも救えない、その感じがすさまじく好みでした…。なんとなく、父親からも母親からも「愛されてはいないだろう」という諦めがまずあったように感じたのです。それでも父の、国の役に立ちたくて、母親のことだって、待ってた。けれど結局、生きがいだった皇位継承権は父親から取り上げられ、最後に縋りついた母親への愛情からも手を離される。それなら、自分の、生きていく価値は何だろう、とストンと糸が切れたように終わりが始まる。

 でもどのパターンのルドルフに対しても、実咲さん(みりおん)のシシィは愛情を持っていたと思うんですよね。ただどのルドルフにとってもタイミングが良くなかったんだろうなと思えて、それってすごいことだなぁと。

 あっきーさんのルドルフは、本当に真風さんのフランツによく似ていて、だからこそ自分が旅に出るきっかけとなった裏切りのことを彷彿とさせただろうと思うし、何より最後通告のときのフランツを思い出したんじゃないかなと。みりおんのシシィは本当にフランツに恋をしていて、だからこそあの場面で彼を突き放さなくては息もできそうになかった自分を、責めたこともあっただろうと、思うのです。扉のシーンはでも流されない、二度と彼に流されたりしない、という決意の場面だったように思うのですよね。みりおんのシシィは、結婚当初からその時まで、結構フランツの言うことを聞いていたんじゃないかと思うのです。長女をゾフィーに奪われたあとも兄弟たちは生まれてるわけで、扉を、開けていたんだと思うのですよ。

 でも何も変わらない。夫も、家も、変わらない!二度と流されたり、しない!その決意は裏切られたからこそ、もう変えられないものだったんじゃないかと思うのです。

 自由を求めて旅を続けても、帰る場所なんて一つしかないという諦めというか、悲哀を背負ったシシィが、フランツによく似た息子に縋りつかれたときの気持ちを思うと、責められない、と思ってしまうんですよ。

 そしてりくくんのルドルフは、魂の色がシシィによく似たルドルフだなって思ったのです。だから宮廷はこの子には、息が詰まるだろうなと自然に納得できる。それでも彼は義務を果たそうとして、敗れた。彼を目にしたとき、シシィはハンガリーでの自分を思い出したんじゃないかと。あの時の誇らしい気持ちを。でもそれは、幻だった。結局あの時手に入れたものが、自分に何をもたらしたのか。それを思うと虚しくて、目を、逸らしたくなるのもやっぱり責められない。

 「ステージドア」で演出の小柳先生がおっしゃっていましたが、みりおんのシシィは「あぁ、そうだよね」って思わせてくれるシシィだなぁと。心の動きが細やかで、納得してしまう。

 あっきーさんがフランツ、りくくんがシシィによく似たルドルフであったなら、ずんちゃんのルドルフはちょうど中間だったように思うのです。ただ、この時の少年時代のルドルフが本当に少女時代のシシィとよく似ていて、だからずんちゃんのルドルフがシシィにとってどういう鏡だったのかなと思うと、「もしかしたらなっていたかもしれない自分」を映し出したんじゃないかと。ずんちゃんのルドルフはフランツを支え、彼の力になって国の力となりたかったのだと思うのですが、みりおんのシシィも、そんな生き方を一度は夢見たんじゃないかと思ったのです。でもなれなかった。私が、生きるためには選べなかった。どうして、ルドルフあなたはよりによってその夢を見たの?それをなぜ今私に見せるの?私、疲れているのよ。

 手を、離したくなる気持ちが分かるからこそ、霊廟の場面が辛くて仕方なかったです。誰が悪かったの?と思うし、どうにかなったのではないか、というかりそめの希望を抱いてしまうし、どうにもならなかったんだ、という絶望が舞台から響いてる。どうしてあの時だったの。あの時、私は疲れていて、だから向き合えなかったの。自分の弱さに。彼の罪に。失った時間に。潰えた夢に。あの時じゃなければ、私、いくらでもあなたの話を聞いたのに!シシィの嘆きが、後悔が、苦しい。

 みりおんのシシィは襲ってくる運命に無力ではあるけれども、いつだって自分で選んで生きてきたんだよなぁって強さもあって、とても好きです。誰かのせいじゃなくて、だから苦しくて、精一杯生きたことが、美しい。

 

 締めに入りかけましたが、私、エルマーとシュテファンのこと言ってないわ!!言わなくちゃ!!どの方もとっても素敵でした!

 全部見て、一番革命が成功しそうなのはAパターンかな…と思いました。りくくんのエルマーが熱く民衆を引っ張って行って、ずんちゃんのシュテファンが冷静にまとめて。そのバランスが一番よかったなと。Bのずんちゃんのエルマーも熱くてとっても良かったのですけど、あいつ、暴走するだろな…と思わずにいられなくて…(ひどい)。Cパターンは典雅過ぎて、たぶん、革命、無理かなって…(ひどい)。

 エルマーもお三方それぞれ違っていて面白かったのですが、あっきーさんとりくくんの恨みというか憤りはエリザベートへ向かっている感じだったのですが、ずんちゃんのエルマーは徐々に「あんな女に騙されている民衆」への怒りを感じたのです。それが年を経て頑迷さとなり、思いこんだ狭い一本道が、りくくんルドルフの破滅になったのかなぁと。

 そんなことを考えていたので、シュテファンの時のずんちゃんは温かみのある人物像が舞台上にあって、観ていてなんだかホッとしました…エリザ怖いな…でもそれくらいのめりこめる演目ってことで、やっぱりもっと観たい…!あ、でも群舞のときはずんちゃんAパターンが一番暴力的でしたよね?そんなことない??あの乱れた前髪を払うのちょっと勘弁してくれません?ってなりません??口半開きとかホンッ……ああ!!!!!(つっぷした)

 

 ともあれ、この夏は宙組エリザベートにどっぷり浸かって大変楽しい夏でした。舞台に圧倒される喜びをしみじみと感じました。今回、一番好きだったシーンって実は昇天の場面かもしれません。あの時、みりおんのシシィがおびえたような顔を一瞬するのがよいなぁと。彼女は冒険の旅に出る、その時に期待だけ抱けるような少女ではもうないのだなぁと示しているようで。それを朝夏さんトート閣下が生も死も超えた凪のような穏やかな目で受け止め、広い世界を指し示す。

 その時、シシィの目が輝いていくのがとても好きなんです。広い世界は彼女を傷つけもしたけれど、それでも、煌めくものもあったんじゃないかと。それは舞台のこちら側、私たちの一人一人の人生が、あの人の目を輝かせているんじゃないかなと、なんだかそう思えて。

 

 そうだったらいいなぁと、祈ってる。祈らせてくれるエリザベートでした。そんなシシィを見せてくれた実咲さんが退団発表をされまして、とてもさみしいです…。とにかくこの素敵な舞台を、今見れる喜びを、噛みしめて東京をお待ちしております。

 

 見れますように!!!!(切実)

 

2016年花組大劇場公演「ミーアンドマイガール」を観ました

 A,B両パターン観れて本当によかった。

 

 ミーマイはもともと大好きな演目なのですが、明日海さんのビルと花乃さんのサリーが本当に可愛くって、ますます大好きになったのです。二人がお互いがお互いを大切に思っていて、パズルのピースがぴったりと嵌っているようなお似合いでしかない二人。

 だからこそ、一幕のホントに冒頭の場面は、この二人は二人で完結してるんだなぁという感じがしたのです。君がいればいい。あなたがいればいい。

 それは素敵なことではあるけれど、実際にできるかどうかはまた別の話なわけで。花組さんのこの前の公演はアーネストでしたが、そこでもそういえば言われてましたね。貴族だけでは生きられない。二人だけでいれるほど、世界は狭くない。

 望まない形であろうともビルの世界は広がってしまったことに、多分マリアおばさまと同じくらい早くサリーは気づいてしまったんだろうな、と。

 

 一幕のパブの場面で、サリーがジョン卿に「(ビルは)ここを好きになってきてるんだ」って言うところが切ない。生きていくうちに好きなもの、大事なものがどんどん増える、ビルはそういう人だってサリーだけは知ってる。ビルは二幕で「僕はサリー以外の人間を愛したことはない」って言うんですよね。ビルも知らないビルのことをサリーだけは知ってる。貴方は人を愛せるよ。いろんな人を大事にできるよ。あたしは知ってんだ!

 花乃さんのサリーは賢くって人がよくって、何か、損ばっかしてそうな子だなぁと思ったのです。あたしはいいよ、って人に譲ってばっかりの。いいよいいよって自分の手の中にあった幸運を人にあげたり、落としちゃったりしてばっかりのサリーの手に、「おめー、こんなんあったぜ」って別の幸運をひょいっと投げ込んでくれていたのがビルだったのかなと。だからこそサリーはビルはあたしじゃなくても大丈夫、って思ったのかしら。でもそうじゃあなかったのは、ビルが、何かを与えることで喜びを感じるのは、サリーに対してだけだったのかなと。ビルとサリーがお互いがお互いを思いあって、だからこそすれ違うのが切なくて、なので最後の再会がホント「よ、よがっだねぇぇぇぇぇぇぇ!!」って泣けるんですよ…。明日海さんと花乃さん、二人のやり取りがキュートで、不器用で、優しくて。本当に好きでした。

 

 役替わりもどちらも楽しかったー!特に印象的なのがマリアおばさまとパーチェスターさんでした。全然違う!

 Aパターンのマリアは何だか少女めいた雰囲気があって、確かにこの人を傷つけたりできなくなるよなぁ、という説得力があったし、Bパターンではビシッ!バシッ!の迫力ですごいメリハリがついて楽しかったのです。どちらのマリアも「守りたいものがある」ことは共通していて、だからこそビルも無下にできないし、段々「ここ」も大事になっていったんだろうな、と。

 あと、マリアおばさまの「あの子が生まれながらに持っている権利です」っていう台詞がとても好きなのですけど、ああいうことを自然に言える人が屋敷にいたから、サリーはランベスに帰る決意をするんだろうなぁって思ったのです。

 

 パーチェスターさんはどっちも変な人で、とっても素敵でした。鳳さんのパーチェスターさんは変な人だけど仕事はそれなりにできそうな気がするんですが、柚香さんのパーチェスター、若い分かしら?仕事できなそーだな!!って思いました。そんなところが良かったよ!

 鳳さんのパーチェスターは、その人柄のあったかさからビルと仲良くなってしまったのかなって思ったのですが、柚香さんの場合はビルとサリー、二人と歳が近くてうっかり仲良くなっちゃったのかなと。サリーが屋敷から出ていくべきだと、マリアに諭される場面で、柚香さんパーチェスターが「そんなっ!駄目だよ!!」って感じで目がウルウルしちゃってたのが、隙だらけで大変可愛かったです。まぁ、マリアに従うんだけどさ結局。

 サリーが屋敷から出る場面、と言えば、天真さん演じる執事さんもすっごく素敵でした…!始めは執事然とした表情を崩さなかったのが、「お車の用意が整いました」でサリーが顎を上げて、拳を握り締めて歩いていくのを見て、一瞬痛ましそうに眉を歪めていたのですよね。あの場面、悪い人が誰もいないことにものすごく泣けてきます。

 

 どの役も人間味が溢れていてとっても素敵だったなぁと。ジャッキーはどちらもゴージャス美女で、ジェラルドは愛すべき坊ちゃんで。あと、ジョン卿な。あれな。罪深いくらいのイケメン…。そんな!!私!!選べない!!と混乱しました。

 ジョン卿と言えば、サリーが「一度ハートを失ったら」を歌ったとき、サリーのハートをビルが持っているように、マリアのハートはジョン卿が持っていたことに、ジョン卿自身があの時気づいたんじゃないかなと思えたんですよね。だから返しに行こう。そうしてまた貰えるだろうか。もしくは、自分の、ハートをあなたにあげられたら。そうだったらどんなに素敵だろうって、そう思える、心の動きがいつだって優しい、そんなミーアンドマイガールが見れてとっても楽しかったです。観れてよかった!

 

 この公演の大千秋楽の翌日、花乃まりあさんが退団発表をされました。とてもさみしいです。花乃さんは、舞台で観るたびにどんどん好きになる、そうさせてくれる娘役さんでした。だからとてもさみしいし、もっと、拍手を送ればよかった。何回も、何度でも拍手を送ればよかった。どんな声も掻き消えるくらいの拍手を私が送れたらよかった。

 まだ唇を噛みしめるような気持なのですが、でも、限られた期間になってしまった今、せめて精一杯、できる限りの拍手を花乃さんに送りたいと思っています。

 花乃ちゃん、素敵な舞台をありがとう。

 あなたの幸福を、それこそ果物売りのボブみたいに祈ってる。